「あっ! もしかして、お母さん、今までずっと、魔法かけてハーブティーを販売してたの?」

「そうよ。こんな強い魔法じゃないけどね」

「あの恋が叶うハーブティーにも?」

 そんな魔法があるなら、私も使いたい!

 お母さんは、私の隣のカウンター席に腰掛けた。

 お母さんは魔法をかけていない方のポットの残りをカップに移して、一口飲んだ。

「あれは、恋が叶うって言うか、恋愛運がアップするって程度よー。ま、恋愛成就の御守りや、おまじないよりは、もう少し効果あるんだけど…。誰かの運命まで変えてしまうような、そんな強力な魔法、お母さんには使えないし、何よりそれは禁呪だもの」

 私は落ち着かなくて、ソワソワしながら話を聞いてたんだけど、とうとう我慢ができなくなっちゃった。

「お母さん、ごめん! 宿題しながら、話を聞いてもいい?」

「え? あははっ、いいわよ」

 お母さんは吹き出した。

「久々に本気で魔法かけたから、強く効き過ぎちゃったみたいね。ごめん、ごめん」