魔女の恋は空回る

 ピピピピピッ!

「はい、じゃあ、まずはこっちの魔法をかけてない方を飲んで」

 私は、お母さんから渡されたカップに、慎重に口を付けた。

「どう?」

「熱くて、そんなすぐに飲めないよ」

 冷ましながら少しずつ飲む。

「…普通に美味しい」

「お次はいよいよ、こちらの本命をどうぞ」

 私は恐る恐る飲んでみた。

「?? さっきのと同じ味だけどなぁ…」

 特に違ったところは感じない。飲んだ直後はそう思ったんだけど…

「あれれ? 何だか急に宿題のことが心配になってきた! 今すぐにでも宿題したい気分! ええっ!? 絶対、おかしいっ! おかし過ぎるっ!!」

「あははははっ」

 お母さんが大きな声を出して笑った。

 黒猫は驚いて大きく目を開いた。

「これでもうお母さんの言うこと、信用できるでしょ?」

 お母さんは勝ち誇った。