「奥さんは何の教科の先生なんですか?」

「美術ですよ。おもしろくもなんともないでしょう? 理科教員と美術教員が、職場結婚しただけなんだから」

 他の先生だったらそうかもしれないけど、先生だからこそ、逆にその普通さがおもしろーい。

「えっ、じゃあ、初デートはどこに行ったんですか?」

「ボウリング場です」

 ぷっ! ウソでしょ!?

「教職員の親睦会でボウリング大会をすることになったんで、その前に彼女にボウリングを教えたんですよ」

「えっ、誰が?」

 しまった! 驚き過ぎて、声が出ちゃった。

「僕が。これでも、マイシューズとマイボウルも持ってるんですよ」

 えっ、何、その情報!

「大学時代に、プロボウラー目指して、プロテストも受けたこともあります。もし受かっていたら、君たちに理科を教えることもなかったでしょうね」