どうしよう? 魔法でジャンケン、勝たせる? 今の私なら可能だけど……

 でも、それはしないでおこう、って決めた。

 スタンツの内容を変更するとなったら、私も大変だと思う。でも、あのとき、黙ってたんだから、それも仕方がない。甘んじて受け入れよう。

 そう思った早々に…

「みんな、ごめん!」

 放課後、学級委員が肩を落として、教室に帰って来た。

 ホントに、あっさり負けて帰ってきちゃうんだね。
 
 案の定、クラスは再び、大騒ぎになった。

「気にすんなよ」

「でも、どうすんの?」

「寸劇もダンスも、もう時間なくてできないよ」

 そのとき、1人がヘラヘラ笑いながら叫んだ。それは、サキちゃんに好意を持ってる男子だった。

「丸田がセクシーな衣装着て、ベリーダンスでも踊ったらいいんじゃね? 男子には確実にウケるぞ!」

 教室は水を打ったように静まり返った。

 うわー、最低だっ。

 好きな女子に意地悪する男子って、中学生になってもまだ絶滅してなかったなんて!