私の顔を見て、サキちゃんは、ふふっと笑った。

「私、男子に媚びを売って、ぶりっ子してたんだって。一部の女子から、陰口言われたり、無視されたりって程度だったんだけど。でも、そのうち、私のこと庇ってくれる子たちが出てきて…クラスがすっごく仲悪くなっちゃって、最悪な雰囲気のまま卒業…」

 サキちゃんは、そこで大きくため息をついた。

「だから、中学ではそうならないようにしようって決めたの。話しかけるときは、平等にみんなにって気を付けて。向こうから話しかけてくる男子とは、必ず一定距離を保つように注意して。それから、男子よりちょっとだけ女子を優先。その甲斐あって、自分で言うのもアレだけど、中学ではそこそこ上手くやれてると思うの」

 サキちゃんがそんな配慮してただなんて…

 衝撃的な話だった。

「そこそこどころか、私、誰かがサキちゃんのこと悪く言うの、1度も聞いたことがないよ。クラスのみんな、サキちゃんが大好きだよ」

「ツムギちゃんも? ハヤト君よりも?」

 うっ! ハヤト君のこと好きなの、バレてる??

「ハヤト君ってさ、割と好き嫌いはっきりしてるよね? 好きなものは好きって感じ。自分に正直。それでも、みんなから好かれてる」

 ううっ、答えづらい。