お母さんは小走りでカウンター裏に戻って、キッチンタイマーを止めた。

 耐熱ガラス製のカップに、ハーブティーを注ぐと、優しい薫りが、私の鼻の下まで漂ってきた。

 ブレンドのメインは木や草のはずなんだけど、花の色が抽出されてるのかな? 薄いピンク色をしてる。

「はーい、お待たせ。熱いから気を付けてね」

 お母さんは、私の前に丁寧にカップを差し出した。

 私は、両手を使ってカップを持ち上げて、そうっと口を付けてみた…

 ホントに熱っ!

 ふーっと息を吹きかけて冷ますと、ほんの少しだけ飲めるようになった。

 うん、強過ぎず弱過ぎず、絶妙な加減の酸味があって飲みやすい。

 お母さんは、私の顔を凝視してる。

「ん? 美味しいよ?」

「そうじゃなくって…」

 お母さんは、はあああぁぁぁ…、とオーバー気味にため息をついた。

「覚醒…しちゃったのね…」

 かくせい??