「ごめん。俺のせいでこんな嫌な思いさせて。」
「ありがとう。助けてくれて。
でも、あんなこと言ったらダメだよ。みんなの王子なんだから。」
「もう、人気なんていらない。
 他のやつにどう思われようと構わない。
 いい人ブルのもやめた。」

沈黙。

「唯に俺のこと好きにさせるとか言って、俺が唯を好きになってしまった。
 視聴覚室に呼び出した時、首筋に違う誰かのキスマークつけられるのを見て、めちゃくちゃイラついた。
 でも、その時に、唯が好きだって気づいた。だから、それ以上、何もできなくなった。唯に嫌われてると思ったら、辛くて。
今までごめん。ひどいこと言ったり、無理矢理やなことして。もうしないから。
でも、また、さっきみたいなことあったら、俺が守るから。」
高崎君は真剣な顔してた。
とても優しい顔もしてた。

「高崎君。
 私、嫌われてると思った。
そりゃそうだよね。あんなことしてて、好きになってくれる人なんていない。
でも、私ね、高崎君が好きなの。
 初めはもちろん嫌いだった。
 でも、だんだん嫌じゃなくなって、好きになってた。でも、自分でも気づいてなかった。
 視聴覚室のあとから、高崎くんは何もして来なくなった。それが辛かった。
 毎日、高崎君のことばかり考えてて、援助交際もやる気なくなった。
 あのキスマークは、家庭教師につけられたけど、家庭教師ともやる気無くなって、家庭教師も違う人に変わった。
 だけど、成績だけは、高崎君と張り合っていたくて、勉強は頑張ったんだ。」

「唯。」
高崎君が抱きついてきた。
「うれしい。ホントに俺のこと好きになってくれたんだ。すごく嬉しい。」
「私も嬉しい。」
ギューと強く抱き合った。
そしてキスをした。

予鈴がなった。
「教室戻ろう。」
「うん。」
「一緒に帰ろう?」
「うん」