アンドロイド・ニューワールド

「緋村さんは、何部に所属しているのですか?深海魚研究部とか?」

「しっ…。…何処にも所属してないよ。…何処から出てきたの?深海魚研究部って…」

「そうですか。実は私も、どの部活にも所属していません。緋村さんが深海魚研究部に所属されているなら、ご一緒しようかと思ったのですが」

「…そんな部活は、うちの学校にはないよ」

と、緋村さんは答えました。

そうだったんですね。

「あと、俺は別に、深海魚に興味はない…」

と、緋村さんは呟きました。

そうだったんですね。

それは知りませんでした。

「星屑学園は、スポーツクラブが盛んだから…。もし入りたいなら、久露花さんも、スポーツクラブに入ると良いよ」

と、緋村さんは言いました。

スポーツクラブですか。

「あ、スポーツが好きなら、の話だけど。好きじゃないなら、別に強制じゃないから…」

「身体を動かすのは得意です。が、別に何かの競技にこだわっている訳ではないので。…あ、戦闘部などがあれば、活躍出来るかもしれません」

「…ごめん、ない」

「そうですか」

と、私は答えました。

「…何でちょっと残念そうなの…?」

「え?私今、残念そうでしたか?」

「うん…」

と、緋村さんは頷きました。

それは意外です。

私に、感情はありません。

従って、星屑学園に戦闘部があろうとなかろうと、私の表情が変わるはずがないのですが。

それよりも。

「緋村さんは、部活動は行わないのですか」

「え…」

「そういえば、私の趣味は答えましたが、緋村さんの趣味は聞いていませんでしたね。緋村さんは何が趣味なのですか?」

と、私は尋ねました。

あ、これって、秘密を教え合うという行為に該当しませんか?

交友を深める良い機会です。

しかし。

「趣味…は、あったよ」

と、緋村さんは答えました。

何故か、後ろめたそうに。

しかも、過去形です。

「何故過去形なのですか?好きな趣味なら、継続すれば良いと思います」

「…出来ることならしたかった。でも…スポーツだから…。あの事故以来、続けられなくなって…」

「…?事故?事故が趣味の継続と関係あるのですか?」

「…スポーツだからね。足がないと出来ないんだよ」

と、緋村さんは答えました。

とても、寂しそうな顔です。

ふむ、足がないと成立しないスポーツ…ですか。

…。

「…ボディビルディングですか?」

「…何でそうなるの?」

「それしか思いつかなかったもので…」

と、私は答えました。

他に、何かありますか?

「他に足がないと出来ないスポーツ…。ロッククライミングとかでしょうか」

「…さっきから、なかなかハードなスポーツばっかりだな…」

「だって、足がないと成立しないスポーツと言ったら、必然的にハードなスポーツになりませんか?」

と、私は尋ねました。

今時ですから、車椅子でも成立するスポーツは、たくさんあります。

足を使うサッカーですら、車椅子専用サッカーという競技があるくらいですから。

車椅子では出来ないスポーツとなると、やはり、車椅子で代用出来ない、ハードなスポーツに限られるように思うのですが。

「差し支えなければ、教えてもらえませんか。緋村さんの趣味だったスポーツ」

「…バドミントン」

と、緋村さんは答えました。

まるで、罪悪感を感じているかのような顔で。