アンドロイド・ニューワールド

更に、その日の昼休み。

教室から出ようとする緋村さんを、私は呼び止めました。

「緋村さん」

「久露花さん?どうかした?」

と、緋村さんは聞きました。

「どちらに行かれるのですか?」

「え?購買部に…。お昼買いに」

「成程。実は、私もこれから、購買部に昼食を買いに行こうと思っていたんです」

「…」

「利害は一致しています。一緒に行きませんか?」

「…良いけど…何の利害?」

と、緋村さんは困惑したように聞きました。

あなたは購買部に行く、私も購買部に行く。

目的も手段も一致しているので、利害も一致しているだろうと判断したまでです。

「では行きましょう」

と、私は言いました。

そして、緋村さんの車椅子のハンドルを握りました。

「あ、ありがとう…」

「何がですか?」

「え?いや…押してくれて…」

「感謝されることではありません。あなたの車椅子を押す、その行為に対する労力は、ぬいぐるみを抱いて歩くようなものです」

「…軽…」

と、緋村さんは呟きました。

私は、的確な例えをしただけなのですが。

何か、気に障ったのでしょうか?