アンドロイド・ニューワールド

「友達である皆さんに、見せてあげられないのは私も残念です。しかし、ご理解頂けたら幸いです」

と、私は言いました。

それから。

「ところで、先程二人一組で練習をするように言われました。良かったら、友達のあなた方と、ペアを組ませてもらえませんか」

と、私は頼みました。

友達である彼女達なら、きっと引き受けてくれるでしょう。

しかし。

「『申し訳ありませんが、あなたとペアを組むことは出来ません』」

と、湯野さんは、私の口調を真似てそう答えました。

そして、その言葉を聞いた悪癖お友達は、一斉に爆笑していました。

なんということでしょう。

友達と笑い合っています。間接的とはいえ、私が彼女達を笑顔にしたのです。

誰かを笑顔にするというのは、とても難しいことです。

私は、それをやってのけたのです。素晴らしい成果です。

「そういう訳だから。じゃね〜」

と、湯野さんと悪癖お友達一行は、さっさとお互いにペアを組んで、コートに向かって歩いていきました。

私は置き去りです。

…。

ペアを組めなかったのは残念ですが、結果的に友達を笑顔にすることが出来たので、成果は上々です。

別にペアは誰でも良いので、他の人と組むことにしましょう。

もしかしたら、この機会をきっかけに、更に友達を増やすことが出来るかもしれません。

そう思って、私は周囲をぐるりと見渡しましたが。

既にクラスメイト達は、お互いにペアを組んでおり。

余っている生徒は、私だけです。

はて、これはどうしたことでしょう。

生徒の総数は奇数なのでしょうか?それなら、私はこの大勢の中で余ってしまった、選ばれし者ということになります。

それはそれで名誉なことですが。

しかし、よくよく考えたら。

一年Aクラスは、私を合わせて、38人だったはず。

38は偶数なので、二人一組になれば、計19組になり、余り者は出ないはずです。

確か今日は、欠席の生徒もいなかったと記憶していますが。

それなら何故、私が一人になるのか…と、思っていますと。

「…」

私は、体育館の隅で、一人制服を着ているクラスメイトを見つけました。