「本当、良かったですね。仲直り出来たみたいで…」

横で聞いていた緑ちゃんも、この笑顔。

「うん。私達が瑠璃華ちゃんにしたアドバイスは、間違ってなかったんだね」

よく考えて、自分の正しいと思うことをしなさい、と。

瑠璃華ちゃんには、きっと難しい難題だったはずだろう。

けれど彼女は、やり遂げたのだ。

機械のように、合理的な判断を優先するんじゃなくて。

機械ではとても測れない、自分の気持ちに任せた判断をした。

それはつまり、奏君や生徒会長さんを、『人間交流プログラム』の為の研究材料にするのではなく。

彼女自身が、自分が一緒にいたいと思う人を選んだのだ。

以前の瑠璃華ちゃんだったら、絶対に思いつかない判断だった。

「紺奈局長には、頭が上がらないなぁ…」

私は、しみじみと思い知らされた。

あの瑠璃華ちゃんを、こんな風に変えるとは。

いやはや、『人間交流プログラム』の成果たるや、目覚ましいものがある。

「でも、これで終わりじゃないんだよね。まだまだ、『人間交流プログラム』は始まったばかりだ」

「はい、そうです」

瑠璃華ちゃんが『人間交流プログラム』を初めて、まだほんの数ヶ月。

たったそれだけの期間で、ここまで変わったのだ。

これからもっと時間をかければ、更に彼女は変わっていくだろう。

その中で彼女は、様々な局面に遭遇するだろう。

間違いなく皆の人気者であっただろう、生徒会長さんを無下にあしらった、その代償を払わなくてはならないだろうし。

それ以外にも、これからも、今回のようなトラブルは必ず起きるだろう。

人間として生きるというのは、そういうことだ。

いついかなる時でも、様々なトラブルに巡り合う可能性がある。

今回は、奏君との仲を、上手く修復出来たようだけど。

次また似たようなことが起きたとして、同じように修復出来るとは限らない。

これから二人の関係が、どう変わっていくのか、あるいは何も変わらないのか。

それは誰にも分からない。

…けれど。