アンドロイド・ニューワールド

想定していたものとは、だいぶ違いましたが。

爬虫類の館には、実に多種な爬虫類が展示されていました。

試しに、通路と檻の中を隔てている、分厚いガラスをコンコンと叩いてみましたが。

成程、奏さんの言った通り、非常に分厚く、強固なガラスですね。

これなら、いくら獰猛な爬虫類がいたとしても、向こうからガラスを破壊することは出来ないでしょう。

しかしそれでも、万が一の可能性はあります。

実はガラスにヒビが入っていたとか、誰かがガラスに突撃したりとか。

世の中は、いつ何時、何が起こるか分かりませんからね。

楽観視するのは良くありません。

で、それはともかく。

「ふむ。これがタイガースネークですか…。なかなかにおどろおどろしい色ですね」

と、私はガラス越しにヘビを見ながら言いました。

「性格は凶暴で、かつ猛毒を持つ…成程。身体も大きいですし、戦ったら良い勝負が出来そうです」

と、私は言いました。

展示されているケージの下に、その動物の説明文が掲載されています。

「こちらはキングコブラですか…。噂には聞いていましたが、此奴の毒も、かなり強力なようですね。成程、良い面構えをしています」

と、私は言いました。

ケージの中でとぐろを巻いて、微動だにしていないところが、またポイント高いですね。

いきなり襲いかかってきそうで、危険な香りがします。

更に。

「こちらはガラガラヘビ…。あなたには一度会ってみたいと思っていました。そんな、ケージの隅でとぐろを巻いていないで、こちらに来て顔を見せてください」

と、私は言いました。

しかしガラガラヘビは、私の要求に応えるつもりはないようです。

シャイですね。

動かないので、眠っているのかと思えば。

よく見たら、ぱっちりと目を開け、時折舌をチョロチョロと出しては、周囲の様子を伺っているようです。

非常に興味深い行為です。

まさに、王者の風格を感じさせますね。

「私のことなど眼中にないという、その威風堂々たる態度…。さすがですね。是非とも一度、正々堂々の勝負を挑んでみたいものです」

と、私は言いました。

しかし。

「…」

と、奏さんは無言でした。

さっきから奏さんは、私が何を言っても、ずっと無言です。

それどころか、必死に檻から目を逸らそうとしているように見えます。

…何か気になることでもあったのでしょうか。