アンドロイド・ニューワールド

荷物を、ロッカーに預けたら。

いざ、電車に乗車です。

「そういえば私、電車に乗るのは初めてですね」

「そうなの?」

「えぇ。電車に乗るより、自分で走った方が速いですしね」

「…瑠璃華さんが言うと、あながち嘘じゃないから凄いよね」

と、奏さんは呟きました。

あながちではなく、本当に嘘ではないのですが。

「じゃあ、切符の買い方とか分かる?」

と、奏さんは聞きました。

「切符?」

と、私は聞き返しました。

「そう。切符がなきゃ乗れないよ。買い方分からないなら、俺が…」

「大丈夫ですよ奏さん。あなたの手を煩わせることはありません。切符なんて必要ありませんよ」

「…うん。無賃乗車は犯罪だよ?」

と、奏さんは静かに言いました。

しかし、私は知っています。

体験したことはありませんが、本や映画で学んだ知識があります。

「心配しなくて良いですよ。電車が走り出すと同時に、奏さんを抱えて飛び乗りますから。そのまま、電車の屋根にしがみついて…」

「あぁ、うん。瑠璃華さんが何を想像してるのか分かった。じゃあ、ちょっと切符買ってくるよ」

「あ」

と、私は言いました。

奏さんを止めようとしたのですが、既に切符を買いに、列に並んでいます。

残念です。

映画で見たあれを、試せるチャンスだと思ったんですが。