私と奏さんが、あんなに頑張ったというのに。

結果は優勝とはならず、青チームは準優勝でした。

「リレーでは、ぶっちぎりの一番だったのに…。残念ですね」

「う、うん…。瑠璃華さん一人だけ、自動車に乗ってるのかってくらい速かったもんね…。そりゃ勝つでしょ…」

「はい?」

と、私は聞き返しました。

自動車?

「あ、いや…。仕方ないよ。リレーだけで得点が決まる訳じゃないし。これまでの競技を総合して点数になるから」

「成程…。私達だけが頑張っても、他の種目で同じチームの人達が頑張ってくれないと、得点には反映されないと。そういうことですね」

「うん、そういうこと」

と、奏さんは答えました。

成程、理解しました。

優勝出来なかったのは残念ですが、しかし良かったこともあります。

「奏さんが以前、運動会に出たときは、チームは最下位だったんでしょう?」

「あ…うん、そうだね」

「しかし、今日は準優勝です。そう思えば、随分進歩しましたね」

「うん…。これも瑠璃華さんの、うん、全部瑠璃華さんのお陰だよ」

と、奏さんは言いました。

何で言い直したのでしょうか。

「奏さんが出場しても、チームの足手まといにはならないことが、これで証明されました。来年からは、堂々と胸を張って出場出来ますね」

「…うん。その分俺は、物凄く恥ずかしい思いをしたけどね…」

「?」

「あ、いや何でもない…」

と、奏さんは言いました。

何だったのでしょう。

ともかく、奏さんと運動会に出られて何よりでした。