アンドロイド・ニューワールド

「…」

と、奏さんは無言で、視線を逸らしていました。

先程の、クラスメイトの罵詈雑言が、奏さんの耳にも届いていたのでしょう。

成程。奏さんはきっと、あのように心無いことを言われることを、心配していたのですね。

それでさっきから、クラス対抗リレーの話を出す度に、挙動不審だったのでしょう。

「…心配ありません、奏さん」

「…え?」

「あのような言葉を、真に受ける必要はありません。むしろ彼らに、『奏さんがいてくれて良かった』と言わせてやりましょう」

「あ…う、うん…そうだね。瑠璃華さん、ありが、」

「では、私も本気を出さなければなりませんね。奏さんの名誉の為です」

と、私は腕をプラプラと振りながら言いました。

何故か、奏さんの顔が青いです。気のせいでしょうか。

「腕が鳴りますね。必ず、誰よりも早くバトンを渡しましょう。任せてください、奏さん」

「…うん…」

と、奏さんは、やはり視線を逸らして言いました。

やはり、誹謗中傷を受けるのが心配なようですね。

では。

そんな誹謗中傷は誰からも受けやしないと、奏さんにも教えてあげましょう。

さぁ、いざ出陣です。