アンドロイド・ニューワールド

「…ふふっ」

私は、1027番…瑠璃華ちゃんから届いたメールを見て、思わず笑ってしまった。

楽しそうだなぁ。

本人は、全然自覚してないんだろうけど。

すると、そこに。

「久露花局長、そろそろお時間ですよ」

私の右腕、第4局の副局長である、翠ちゃんがやって来た。

「…?何を笑っていらっしゃるのですか?」

私の笑い顔を見て、首を傾げる翠ちゃん。

「いや、今ね…。瑠璃華ちゃんからメールが来て…」

「メール?」

「運動会に出るそうだよ。例のお友達と。ほら」

そう言って、私は翠ちゃんに、瑠璃華ちゃんからのメールを見せた。

そのメールを読んだ翠ちゃんは、しばしポカンとして。

そして。

「…ふふっ」

と、私と同じように微笑んだ。

ね?私が笑ってた理由、分かったでしょ?

想像してみる。瑠璃華ちゃんがメールで寄越してきた方法で、車椅子のお友達とリレーに参加している姿を。

もうね、想像したときの絵面だけで、物凄く面白い。

私や翠ちゃんは良いとして、他の皆は目玉が飛び出るだろうなぁ。

そう思うと、尚更面白いよ。

「良いんですか?目立っちゃいますよ」

翠ちゃんが、半分笑ったまま言った。

「良いんだよ、目立っても。瑠璃華ちゃんが自分で思いついて、自分で実行に移そうとしてるんだから。立派な自我の芽生えだ。私達は、優しく見守ってあげよう」

まぁ、ちょっと笑うかもしれないけど。

それくらいは、ご愛嬌というものだ。

すると、翠ちゃんが。

「あ…そうだ、局長。そろそろお時間です」

「あぁ、忘れるところだった。行かなきゃ」

ここで、瑠璃華ちゃんのメールに笑ってる場合じゃなかったんだ。

「同僚」を、待たせる訳にはいかないからね。

「それじゃあ、行こうか」

「はい」

私は翠ちゃんと共に、通信室に向かった。