アンドロイド・ニューワールド

そこで、私は奏さんと別れ。

50メートルほど歩いて、人気のない路地裏に行き。

そして、そこで立ち止まりました。

「…出てきたらどうですか?そんなところに隠れてないで」

と、私は言いました。

全く何もない、無の空間に向かって。

確かに、そこは何もない空間です。

目には見えません。

ですが、私には分かります。

そこに、確かに「何か」があることに。

だから、声をかけました。

すると。

「あ、見つかりましたか」

と、潜んでいた何者かが言いました。

同時に。

何もなかったはずの空間に、人影が現れました。

「割と自信あったんですけど。第4局は優秀ですね」

「…」

と、私は無言で応じました。

目の前に現れたのは、奏さん達と同い年くらいの青年。

…に、見えますが、私は彼が奏さん達と同い年ではないことも。

彼が、人間ではないことも知っています。

何故なら、彼もまた…私と同じ。

『新世界アンドロイド』と呼ばれる、人ならざる存在だからです。