…私が、これら一連のやり取りを再生すると。

局長と副局長は、呆気に取られていました。

「…大丈夫ですか?」

と、私は尋ねました。

二人共、何故か固まってしまいました。

ラグが起きたのでしょうか。

それともバグでしょうか。

すると。

『…瑠璃華ちゃん…。君は、なんてことを…』

と、局長は天を仰いで言いました。

『す、凄いですね…。むしろ、ここまで来ると…』

と、副局長は動揺したように言いました。

私は何か、不味いことでも言ってしまったのでしょうか。

「私、間違ったことを言ってますか?」

と、私は聞きました。

先程再生した音声データを、聞き直してみても。

私は自分の理論の方が正しい、と再認識したのですが。

どうやら局長達の反応を見ると、これはあまり、褒められた会話ではなかったようです。

『いや…。君は間違ってない…。言い分としては、瑠璃華ちゃんの方が正しい』

と、局長は言いました。

『いくら車椅子だからって、授業に参加させないことや、ましてやわざとでもないのに遅刻したからって、そんな風に皆の前でからかうのは、その先生達の方が悪い』

『はい…。クラスメイト達がその子に冷たいのは、教師陣もまた、その子に配慮しないのが当たり前という考えだから…。その考えが、生徒達にも伝播しているんでしょうね』 

と、局長と副局長は言いました。

成程、そうですか。

やはり局長達と同意見で、よかっ、

『でもね、問題は君の言い方』

…と、局長は言いました。

私は頭の中で、局長の言葉を反芻しました。

私の、言い方が問題?

「何か問題がありましたか?」

『問題だよ…。これじゃ話し合いじゃなくて、脅しじゃないの。特に二人目の男の先生』

と、局長は言いました。

二人目というと、化学教師の方ですね。

「私は、脅したつもりはないのですが」

『いや、でも完全に脅しちゃってるよ。無理矢理謝らせてるよこれ。これは恨まれるよ…』

と、局長は嘆くように言いました。

私、恨まれてるんですか。

『と言うか、私は…瑠璃華さんに、こんな風にはっきり、誰かの為に物を言えたということにびっくりしてます…』

と、副局長は言いました。

『それね!私もそれは思ったよ。瑠璃華ちゃんって、意外に友達思いなんだね』

と、局長は同意するように言いました。

私が…友達思い?

そんな自覚は、全くないのですが。

『瑠璃華ちゃんの、突然の毒舌にはびっくりしたけど。でもそれもこれも、友達の名誉を守る為に言ってるんだと思うと…感慨深いものがあるよね、こちらとしては』

『はい…。言い方に問題はありますが、間違ったことは言ってません』

と、局長と副局長は言いました。

私が毒舌?

これもまた、自覚はありません。