何が悪いのか分からないのなら、それはそれで良いでしょう。
私達アンドロイドでさえ、分からないことはたくさんあるのです。
人間にだって、説明されても理解出来ないこと、分からないことはたくさんあります。
なら、理解出来なくて結構です。
しかし、理解出来ないから謝罪もしない、というのは間違いです。
理解の如何に関わらず、悪いことをしたら謝る、という人間の大原則は守るべきです。
あなたが本当に人間であるならば、ですが。
実は人型のオランウータンです、と自白するなら見逃しますが。
そうでないなら、見逃す訳にはいきません。
「謝ってください、奏さんに。『申し訳ありませんでした』と」
と、私は言いました。
これが、人間が人間にする、まともな謝罪の仕方でしょう。
すると。
「い、いや、瑠璃華さん。俺は別に、そんな…」
と、奏さんが謝罪を拒否しようとしましたが。
今回は、そういう訳にはいかないのです。
これが奏さんと、この化学教師の間だけの問題なら、奏さんが「謝罪は受けない」と、断固拒否することも可能でしょう。
しかし。
「私は奏さんの代弁者ではありません。私は私自身が不快だから、あなたに謝罪を要求しているのです」
と、私は言いました。
これは奏さんと、化学教師だけの問題ではありません。
その間に、私も挟まっているのです。
余計なお世話、邪魔者なのかもしれませんが。
厚かましくも、最初に首を突っ込んだのは私です。
従って、私を無視して、両者だけで問題を解決されては困るのです。
ちゃんと私に対しても、筋を立ててもらわなければ。
「謝ってください。これ以上謝罪を拒まれるなら、私も出るところに出ますよ」
と、私は言いました。
「ちょっ…瑠璃華さん?」
と、これには奏さんもびっくり。
ですが、私は本気でした。
私には会話の録音機能がついているので、化学教師が奏さんに向かって何を言ったか、いつでも第三者に立証することが出来ます。
言った言わないの話にはさせません。
「いっそその方が、はっきりして良いんじゃありませんか?間に誰か挟みましょう。学園と関係のない第三者を。どちらの主張が正しいのか判断してもらいましょう」
「…」
と、化学教師は不愉快の極みみたいな顔で、唇を噛み締めました。
知ったことではありません。
「それが嫌なら、謝ってください。謝り方は、もう教えましたよね?」
と、私は尋ねました。
すると。
化学教師は、しばしの間を置き。
無言の睨み合いのような形になっていたのですが。
急に、胡散臭い笑みを浮かべて言いました。
「分かった、分かったよ。先生が悪かった」
「はい。あなたが悪いと思います」
「うん、分かった。そのことは、後で話そう。今は授業だから。皆も待ってることだし、後で話そう。な?」
と、化学教師は言いました。
成程、そういう作戦に出ましたか。
人間とは、狡猾な生き物ですね。
第三者という言葉を出した途端、自分が不利な立場にあると理解したのでしょう。
そして、私が興奮していると思い込み、とりあえずこの場を凌ぐことで、私が落ち着くのを待ち。
後になって、良く言えば穏便に、悪く言えばなあなあにして、流してしまおうという腹積もりなのかもしれません。
しかし、私は興奮などしていません。
『新世界アンドロイド』である私には、心がありませんから。
いつだって冷静です。
私達アンドロイドでさえ、分からないことはたくさんあるのです。
人間にだって、説明されても理解出来ないこと、分からないことはたくさんあります。
なら、理解出来なくて結構です。
しかし、理解出来ないから謝罪もしない、というのは間違いです。
理解の如何に関わらず、悪いことをしたら謝る、という人間の大原則は守るべきです。
あなたが本当に人間であるならば、ですが。
実は人型のオランウータンです、と自白するなら見逃しますが。
そうでないなら、見逃す訳にはいきません。
「謝ってください、奏さんに。『申し訳ありませんでした』と」
と、私は言いました。
これが、人間が人間にする、まともな謝罪の仕方でしょう。
すると。
「い、いや、瑠璃華さん。俺は別に、そんな…」
と、奏さんが謝罪を拒否しようとしましたが。
今回は、そういう訳にはいかないのです。
これが奏さんと、この化学教師の間だけの問題なら、奏さんが「謝罪は受けない」と、断固拒否することも可能でしょう。
しかし。
「私は奏さんの代弁者ではありません。私は私自身が不快だから、あなたに謝罪を要求しているのです」
と、私は言いました。
これは奏さんと、化学教師だけの問題ではありません。
その間に、私も挟まっているのです。
余計なお世話、邪魔者なのかもしれませんが。
厚かましくも、最初に首を突っ込んだのは私です。
従って、私を無視して、両者だけで問題を解決されては困るのです。
ちゃんと私に対しても、筋を立ててもらわなければ。
「謝ってください。これ以上謝罪を拒まれるなら、私も出るところに出ますよ」
と、私は言いました。
「ちょっ…瑠璃華さん?」
と、これには奏さんもびっくり。
ですが、私は本気でした。
私には会話の録音機能がついているので、化学教師が奏さんに向かって何を言ったか、いつでも第三者に立証することが出来ます。
言った言わないの話にはさせません。
「いっそその方が、はっきりして良いんじゃありませんか?間に誰か挟みましょう。学園と関係のない第三者を。どちらの主張が正しいのか判断してもらいましょう」
「…」
と、化学教師は不愉快の極みみたいな顔で、唇を噛み締めました。
知ったことではありません。
「それが嫌なら、謝ってください。謝り方は、もう教えましたよね?」
と、私は尋ねました。
すると。
化学教師は、しばしの間を置き。
無言の睨み合いのような形になっていたのですが。
急に、胡散臭い笑みを浮かべて言いました。
「分かった、分かったよ。先生が悪かった」
「はい。あなたが悪いと思います」
「うん、分かった。そのことは、後で話そう。今は授業だから。皆も待ってることだし、後で話そう。な?」
と、化学教師は言いました。
成程、そういう作戦に出ましたか。
人間とは、狡猾な生き物ですね。
第三者という言葉を出した途端、自分が不利な立場にあると理解したのでしょう。
そして、私が興奮していると思い込み、とりあえずこの場を凌ぐことで、私が落ち着くのを待ち。
後になって、良く言えば穏便に、悪く言えばなあなあにして、流してしまおうという腹積もりなのかもしれません。
しかし、私は興奮などしていません。
『新世界アンドロイド』である私には、心がありませんから。
いつだって冷静です。


