あの日に交わした約束は、思い出の場所で。

「……じゃあ、なんですぐに会いに来てくれなかったの?遥のこと、ずっと待ってたんだよ。あのときの約束……」

『あのときの約束、忘れちゃったの?』そう言いかけてやめた。

もし仮に、期待していた答えを聞けたとしても、私は今さらどうすることもできないんだ。


……私には、大切な恋人がいるんだから。

「奈央を見て、昔みたいに俺がそばにいなくても大丈夫だなってわかったから」

「なに、それ。勝手に決めないでよ」

大丈夫なんかじゃないよ。私は「弱虫」だから、強い自分を演じてただけ。

今だってこんなに不安定で泣きそうになってるのに……


「部活に一生懸命で成績も優秀で……。少なくとも俺のクラスでは、『平田奈央は才色兼備だ』ってみんな言ってる」

誰も言ってないよ、そんなこと。

「遥だって、私なんて近づく隙もないくらい人気者になってるし、かっこよくなってるし……」

……昔みたいに、私だけの遥でいてほしかった、なんて言えるはずもない。

遥は私のこと、今はそういうふうに見てないと思うから。状況は絶えず変化して、私の知っている、語ることのできる遥は過去の人。

今はもう、昔の遥じゃない。