球技大会の緩い開会式も終わり、各自移動をしてすぐに試合が始まった。

試合が始まって十五分程が経った。

ボールは空振りするし蹴ったとしても思ったところにいかないし、さすがにため息が出そうだった。

それに無駄にボールを追いかけたせいなのか息が切れる。

サッカーってこんなに疲れる競技だったっけ……


もはや最後のほうはボールなんて回って来なければいい、と願わずにはいられなかった。


前半が終わり五分間の休憩をする。

「さすが奈央!運動音痴発揮してるね〜」

隣に座った澪がスポーツドリンクを飲みながら話しかけてくる。

「下手過ぎて笑えるでしょ。完全にみんなの足手まといだよ……」

「自分が試合に出てなかったら奈央のこと見て爆笑してたわ」

落ち込む自分に澪のいつものテンションはありがたい。

どうせなら思いっきり笑ってほしいぐらいだ。


「結人くんが試合中でほんとによかったよ。こんな姿絶対に見られたくない」

「大丈夫だよ。大野は奈央のそう言うところも含めて惚れてるんだから」

いくら全部が好きだと言われても、こんなかっこ悪いところ見せられないよ。

でも、かっこ悪いところもだめなところも全部見せられる関係に、いつかはなりたいな。

泣き顔も落ち込む顔も拗ねた顔も。


私はまだ、結人くんに見せてない顔がたくさんある。