「今どきっぽくない落ち着いてる古風な雰囲気にたぶん、一目惚れしたんだ」

結人くんは照れたように笑っていた。

……こうやっていろんな表情を見れるのは、いわゆる「彼女の特権」ってやつなのかな。

それと、流行りについていけてないとか地味な部分って、ときには「古風」という素晴らしい単語に言い換えられるんだなぁと感心する。

「奈央はいつも成績上位者に載ってたから、もともと名前だけは知ってたんだけどね」

成績だけはよかった。

人に認めてもらいたくて頑張ってた。それが先生でも親でも、誰でもよかった。

自分に自信がなかった私は、人に褒めてもらうことで周りから認められているようで嬉しかったんだ。

でも要領が悪くて理解の遅い私は、テストが近くなるといつも人の倍以上は勉強してた。

「どんな子なのかなぁって思ってたら、たまたま二年で同じクラスになって。奈央のことをよく知っていくうちに、どんどん好きになってさー

「……結人くん」

私は、こうやってまっすぐ素直な思いを伝えてくれる結人くんに、いつも救われてる気がする。