あの日に交わした約束は、思い出の場所で。

「平田?」

名前を呼ばれてはっと我に帰り、声のする方へ振り向く。

「あっ結人くん、お疲れ」

「うん、お疲れ。考え事でもしてた?ぼーっとしてたから」

「あぁ、ううん違うの。空、見てただけだから」

気持ちを悟られないように慌てて笑って見せた。結人くんは人の気持ちに敏感だから。


こんなときにまで遥のことを考えるなんてよくないってわかってるけど、もう癖になってるんだ。

七年もの間、遥のことを考えずに過ごした日なんてなかったから。

時間が空けば、『遥は今どこでなにをして過ごしてるんだろう』って、そんなことばかりを想像してたから。

でもそれも、今日で終わりにできたらいい。


「そう?ならいいけど」

「うん。ほら、冬の空って綺麗だなぁと思って」

「たしかにね。空気も澄んでるし。冬って案外悪くないよな」

「だね。星も綺麗に見えるし」

少しの間、窓を開けて一緒に空を眺めていた。


「……あ、あのさ、結人くん。これ」

タイミングがわからなくて突如差し出したハート型の箱。

「これ、俺に?」

「うん。……今年のバレンタインは、結人くんにしか作ってないよ」

「えっ?」

驚いて顔を上げた結人くんと目が合って慌ててそらす。