あの日に交わした約束は、思い出の場所で。

「私、人の気持ちに鈍感なのかもしれない。ごめんね」

「そんなのは、だいぶ前からわかってたよ」

「あと、自分の気持ちも時々わからなくなる」

「うん。それも知ってる」

穏やかな会話。心が温かくなる感じがした。

「結人くんはなんでも知ってるんだね。私よりも私のこと知ってるかも」

そんな話をしながら、その日は学校をあとにした。


前に進みたいと思った。

遥が戻ってきてから、余計にそう思うようになった。

一生このまま、モヤモヤした気持ちを抱えて過ごすなんてことできないのだから。

その日の夜、今まで当たり前に隣にいた結人くんのことを思い出していた。


普段話してるときも一緒に帰った日も、ストラップを探すのにつきあってくれた日も、友達だからというだけじゃなくて、別の感情も含まれていたと思うと不思議だった。

クリスマスイブに聞かれた『好きな人がいるのか』という質問も、もしかしたら勇気を出して聞いてくれたのかもしれない。

なにも察してあげられなかった自分にため息が出る。