あの日に交わした約束は、思い出の場所で。

「平田がどこにいても幼なじみのことを探していて、今でも想ってるのはわかってる」


結人くんは時々、人の気持ちに敏感だ。

遥を思う気持ちも、全部見透かされてたんだ。

「俺なら、平田に寂しい思いは絶対にさせない。いなくなったり泣かせるようなことはしない。平田のこと大事にする」


「……結人くん」

「返事はすぐじゃなくていいから。俺のこと、ただの友達じゃなくて、少しは男として意識してほしい」


こんなふうに人から想われるって幸せだ。

こんな自分でも、誰かが想ってくれてると思うと勇気が出るよ。


「……ありがとう」

いろんな思いがあったけれど、気の利かない私は一言、その言葉を言うのが精一杯だった。

「うん」

そんな私を全部受け止めてくれるかのように、結人くんは優しくうなずいて続けた。

「平田があんまり、お母さんに俺のこと『ただのクラスメイトだ』って言い張るから、少し寂しかったよ」

あぁ、だからか。あのときの別れ際、結人くんの表情が少し曇って見えたのは。

今になって思い出すと繋がることがよくある。