あの日に交わした約束は、思い出の場所で。

……結人くん、めずらしいな。なにしてるんだろ。


開けっぱなしの教室のドアから少しずつ足を進める。

「ゆい〜とくん!」

両手でポンっと肩を叩いた。

驚かすつもりは全くなかったけれど、少し驚いた表情の結人くんと目が合う。

「平田」

「帰らないの?残ってるなんてめずらしくない?」


少し間が空いて、俯きがちな結人くんがポツリと呟く。

「……平田のこと、待ってた」

「えっ?」

一瞬、なに言ってるの?なんて思ったけれど、すぐに我に返る。

「あぁ、待っててくれたんだ。ありがとう。寒いし早く帰ろう?」

お互いの部活が同じぐらいに終わったときには一緒に帰ったりもするから、それと同じだと思ってた。


「そうじゃなくて。平田に話したいことがあって待ってた」

落ち着いたトーンで結人くんに向き合われると、心が落ち着かなくなるのはどうしてだろう。