あの日に交わした約束は、思い出の場所で。

一月も下旬にさしかかり、二年生の終わりも目前だ。

「進路係の平田ー。進路説明会で使うプリントのホチキス留めがあるから、放課後進路指導室なー」

担任が言う。

もうすぐ三年生だ。進路に関する学年集会がたびたび開かれるようになった。

県内でも有数の進学校であるここの高校は、進路指導にも力を入れている。

暇だと思って選んだ進路係の活動が増えてきた。


放課後の係の仕事は思ったよりもプリントが多くて時間がかかった。

「……はぁ。やっと終わった」

指をほぐすように、手を開いたり閉じたりした。ホチキス留めをしすぎて指が疲れている。


進路指導室を出る直前に、窓から外を眺めた。

暗く深い青色に染められているのに、遠くにオレンジ色の空が広がっているのが幻想的だった。

冬の空、嫌いじゃないなぁ。

ふとそんなことを思った。