「あのー、非常に言いにくいんだけどね、結人くんに伝えなくてはならないことがあって」

「ん、なに?」

「実は……お騒がせしていたストラップが、このカバンの中から発見されました」

そう言ってカバンからスマホを取り出し、しっかり付け直したストラップを結人くんに見せた。

実は、結人くんを送り届けてから家でもう一度探してみたら、いとも簡単にカバンの中から見つかった。

どうやら、カバンの中で紐が切れて外れたらしい。

ホッとしたのと同時に、寒い中あれだけ探すのに付き合ってもらっちゃったから、申し訳ない気持ちになった。


「そう、見つかったならよかったじゃん。これからはなくさないように」

「はい。以後気をつけます」

いつもの優しい笑顔を向けてくれた結人くんに、私はかしこまって頭を下げた。

切れてしまったストラップは、新しい紐に変えてまたスマホに付けた。


なんとなく、外す気にはなれなかくて。

もう一度、手元にあるストラップを見つめた。


……可愛くない。なんだこの変な深海魚みたいな黄色いキャラクターは。何度見ても思う。

それでも、私にとっては宝物なんだ。