あの日に交わした約束は、思い出の場所で。

一階のキッチンで温かいココアを入れて二階へ上がる。

「飲み物持って来たよー」

ドアを開けると、いまだ座らないで立ちっぱなしの結人くんがいた。


「ん?どうしたの?座っててよかったのに」

「平田ごめん。見るつもりじゃなかったんだけど……」

結人くんが目を向ける先には、昨日寝落ちする前に眺めていた、アルバムの最後のページがベッドに開きっぱなしの状態で置かれていた。


「あっ!」

慌ててアルバムを閉じるけど、すでに時遅し。


「見た……よね?」

「うんごめん。目に入っちゃって」

いやいや結人くんが謝ることじゃない。片付けなかった私がいけないんだから。


「一緒に写ってたのって、もしかして隣のクラスの転校生?」

七年前の写真でも遥は遥だ。面影もある。

そりゃあ結人くんだって遥のこと知ってるよね。遥、人気者だもん。


「……うん。……はるか、伊南遥はね、私の幼なじみなんだ」

別に隠してたわけじゃない。

隠してたわけじゃないけど、遥は人気者だから、周りに知られて妬まれるのはごめんだった。

「そうだったんだ。全然知らなかった。二人でいるのなんか見たことなかったし」

「うん、当然だよ。誰にも言ってなかったし」

二人の関係は二人だけが知っていれば十分だと思ったから。