あの日に交わした約束は、思い出の場所で。

私と遥の関係は、私だけが知っていればいい。私の心にだけ留めておけばいい。

「でもなくなっちゃったならしょうがないよね」

笑ってはみたけれど、本当はすごく落ち込んでる。

「でもさ、なくしたものってふとしたときに出てくるじゃん。なんでこんなところから、みたいなこと、俺結構あるよ」

「そうだよね。気長に待ってみる」

結人くんなりに励ましてくれているのが伝わってきて、心の中で感謝を言う。


結人くんを家にあげた。

「お母さん、同じクラスの大野結人くん。結人くんの家少し遠いから、雪が止むまでここで休んでいくね」

お母さんに軽く結人くんを紹介し、二階に上がる。

結人くんは礼儀正しく挨拶をしていた。さすがスポーツマンだなぁと感心した。


小学生のとき遥を連れて来て以来、男の子を家に呼ぶなんてことなかった。

だからお母さん、さすがにびっくりしていたみたいだった。

クリスマスイブだし完全に彼氏だと思ってるみたいだから、後でちゃんと説明しないと。


自分の部屋の前まできてドアを開けた。

「ごめんね狭くて。適当に座ってていいよ。今あったかい飲み物持ってくるね」

「あぁうん。ありがとう」

女子の部屋に戸惑っている結人くんが少し可笑しかった。