あの日に交わした約束は、思い出の場所で。

「あのさ、平田」

「ん?なに?」

話しかけてきた結人くんの顔が近くて少し焦ったけど、平然を装った。

「前にも聞いたかもしれないけど、平田って好きな人いないの?」

その質問には、いつだってどう答えていいのかわからない。

……今は特に。


「えっと……」

結人くんはなにも言わずに私が話すのを待っていてくれた。

「私、今まで夢を見過ぎてたみたいで。でもちょうど夢から覚めたところっていうか、……ってなに言ってんだ私」

空回って変なことを口走る。答えになってないとさすがに自分でもわかった。

「んーごめん、わけわかんないこと言ったね。今はもう、いない……」

……いない?こんなに思い続けてたのに?
私は遥のこと、もう好きじゃなくなった?

忘れようと思って忘れられるほど、遥への思いは浅はかなものだったの?


それとも、単に今まで思い続けていた自分が好きだっただけ?

「恋に恋してる」ってやつ。いわゆる自己満足……?


今は、自分の気持ちがよくわからないんだ。