あの日に交わした約束は、思い出の場所で。

背の高い結人くんが傘を持って歩いてくれる。大きい傘なのに、二人で入るとやっぱり小さい。

結人くんの右肩を見ると、降ってきた雪が溶けて濡れていた。

気を遣って私の方に傘を傾けてくれているのがわかり、申し訳ない気持ちになった。

ああ、こんなんだったらもう一本傘を買うべきだったかなぁ、と今さら少し後悔する……

「結人くん肩濡れてるよ。私は大丈夫だから、もっと自分の方に向けていいよ」

「このくらい平気だよ。平田が風邪でもひいたら大変だし、このままでいいよ」

「……そう?ありがとう」

距離が近すぎて緊張しているのか、口数がやけに少なくて。家までの道のりがいつもの何十倍も遠くに感じる。


だからといって、結人くんが隣にいるのは全然嫌じゃない。

むしろ、結人くんには好感が持てる。


たまにはこういうのもいいのかもしれない。

……そんなふうに思えたのは結人くんだからなのかな?