あの日に交わした約束は、思い出の場所で。

「……私、バカみたい」

放課後の誰もいない教室で一人呟いた声が虚しく消える。

どうしても現実を受け入れたくなくて、なんとかいいように捉えようとしていた。

『遥は絶対に約束を破るような人じゃない』そう思い込むことで希望を持ち続けていた。


そんな自分の必死さが、かえって惨めに思えて仕方がなかった。


学校帰りはまっすぐ家に帰ってベッドの上でゴロゴロするのがなによりの幸せだ。

……でも今日は家に帰る気にもなれなくて、家とは反対方向にある思い出の公園に足を運んだ。


——冬の夕方。すでに辺りは暗くて人影はほとんど見えない。

遠くのほうに大きな犬を連れたおじいさんが、一人寂しくベンチに腰掛けている。


なにもすることはないけれど、そばにあったベンチに座った。

スカートを履いていても伝わってくるベンチの冷たさが、私に冬を実感させた。


目を閉じて冷たい風を浴びる。