あの日に交わした約束は、思い出の場所で。

……できなかった。

臆病な私に、そんなことができるわけがなかった。


遥がいなくなって「泣き虫」は卒業した。

泣くのはやめた。

……でも、私は昔と変わらず「弱虫」なんだ。人気者の遥のところに、なんの取り柄ものない地味な私が近づいたら？

周りからどんな目で見られるだろうか。なにを言われるかわからない。


でもそれよりも怖かったのが、遥に拒絶されること。

この七年、遥がどんな経験をしてなにを思って過ごしていたのか私にはわからない。

遥がこの七年、一ミリたりとも私のことなんて考えずに過ごしていたとしたら？

私の存在なんて、写真を見て「あぁ、あんなやついたなぁ」って思い出すくらいで、とっくに忘れていたとしたら？


……私はそういう、現実を知るのが怖かったんだ。

結局は自分をかばって傷つくことから逃げた。