やけに静かな公園を、手を繋いで二人で歩く。隣にいる遥のスーツ姿も、さすがに見慣れた。

見渡す限り、今この瞬間この公園にいるのは二人だけだ。

無駄に広い公園を散歩した。暗闇を、ところどころ消えかかった街灯が照らしてくれている。


夜の風の匂いがする。夏はまだ来ない。

一通り歩いたところで足を止め、思い出が詰まったベンチに二人で腰掛ける。


……今日は、やけに星が綺麗だ。

星座なんて二人ともわからないけれど、ただただ綺麗な星を、しばらく二人で眺めていた。


「奈央」

「……ん?」

「高三のとき、ここで交わした約束、覚えてる?」

ふと約七年半前のことを思い出して、遥を見た。

あのときは「大人びた」と思っていたけれど、遥はもう、すっかり「大人」になっていた。

あの頃よりも一段と、頼もしくなった顔つきの遥が目の前にいる。


高校生だった二人は、遠回りをしすぎていた。お互いに不器用で、おまけに人の気持ちにも鈍感で。

今は笑い話にできてしまうけど。