……でもたぶん、遥のいない七年がなかったら、遥が隣にいてくれる当たり前の幸せにも気づけていなかったと思う。

私と遥は、離れるべくして離れたのかもしれない。

ただ、今はこの小さな幸せが、ずっと続いていくことを願いたい。

私は隣を歩く遥の左手をそっと握った。

遥は私の手を優しく握り返して、

「……もう、奈央のそばを離れることはないから。だから、心配すんな」

まるで私の気持ちを全部読み取ったかのように、そう言ってくれた。