……そう思ってるはずなのに、帰り道、私は涙が止まらなかった。

声が漏れてしまうほど泣いた。私はこの日のために、七年分の涙をとっておいたのかもしれない。


「泣き虫」は、卒業したはずだったのに。

遥がいなくなって以来、泣いたことなんてなかったのに。


私は歩くのもしんどくて、途中で立ち止まっては壁に手をついた。道路脇にしゃがみ込んでしまいたかった。

「呼吸をするのがやっと」そんな感覚だった。

はらはらと大粒の涙が流れ落ちて、道路を濡らしていく。

傘もささず、雨に打たれたい気分だった。

どうせなら、ここで土砂降りの雨が降ってくれればいい。


そう願ってはみたけれど、今日はあいにくの晴れ模様。私に負けないぐらい、蝉があちこちで鳴いている。

これから天気が崩れる心配もない。


たぶん、すれ違う人が心配して何度も私を見ていたと思う。

でも今は、そんなことを気にしていられる余裕もない。


今まで素直になれなかった私は、この涙がなんの涙なのか、考えるのをやめたかった。


——でも、気づいてしまったんだ。

彩月と遥を結びつけたのは自分なのに。



……私は今でも、遥のことが好きなんだ。