閉園時間が迫って出口を通り過ぎた。

帰り道でも、このなんとも言えない重い空気が私と結人くんの間には続いた。もしかしたら二人も勘づいていたかもしれない。

彩月と結人くんと別れ、最寄り駅が同じ遥と家までの道のりを二人で歩いた。

「遥、今日は来てくれてありがとね」

「いやこっちこそ、誘ってくれてありがとう。立花にもよろしく伝えておいて」

「うん。わかった」

遥も楽しんでくれたみたいでよかった。彩月とも気が合いそうだったみたいだし。


「……奈央、大野となんかあったの?」

やっぱり遥たちもわかってたんだ。

気を遣わせてしまったみたいで申し訳ない。

「別に大したことじゃないから、遥は気にしなくて大丈夫だよ」

「……ならいいけどさ」

結局最後まで、結人くんとは会話がほとんどなかった。

「それより、彩月可愛いでしょ?それにね、優しくて真面目でピュアですごくいい子だから。それは彩月をよく知る私が保証する」

遥はそれに対して何も言わなかった。目線を下に下げ、何かを考えているようにも見えた。