あの日に交わした約束は、思い出の場所で。

「奈央、大丈夫?」

隣の結人くんに名前を呼ばれはっとする。

いけない。結人くんのことをほったらかしにして物思いにふけっていた。

自分の世界に入ってしまうところは私の悪い癖だ。

「お似合いだね。二人」

前の二人に聞こえないよう、小声で結人くんにそう言った。

でも結人くんは、それに頷かなかった。

「……奈央はさ、伊南の気持ち考えたことある?」

「遥の気持ちって?考えるもなにも、遥楽しそうだよ」

こんなに楽しそうな二人を見て、急に何を言い出したかと思えば、

「自分のことばかりになってない?」

そんなことまで付け加えられた。

「……何言ってるの?結人くん」

「奈央は、本当にこれでいいの?後悔しない?」

「だから、どういう意味?結人くん、さっきから何が言いたいのかわかんないよ」

はっきりとものを言わない結人くんに、イライラして強く当たってしまった。

「どしたの奈央?」

遥と彩月が振り返って心配そうに見ている。

主役の二人に気を遣わせるなんて、今日なんのために私が来たのかわからなくなる。