学校を出てすぐの小さな公園を通り過ぎようとしたとき、強い雨の音に混ざって、かすかだけど動物の泣くような声が聞こえた。

「……なんの声?」

気になって公園に一歩踏み入れると、ベンチのすぐ下のところにダンボールが置かれていた。

すぐに駆け寄って中身を確認する。


「……ネコ?」

雨でふやけた段ボールの中には、灰色の子猫が一匹入れられていた。この状況からすると捨て猫だ。

雨で絞れるくらいに濡れた毛布と散りばめられたキャットフードも一緒に。

……とりあえず、こんな雨の中ここには置いてはおけない。

私はカバンから自分のタオルを取り出して、濡れたネコをタオルで拭きながら優しく包み込み、足早に家へと向かった。

「一旦置いておくのはいいけど、うちでは飼えないわよ」

リビングで可愛く鳴いている子猫を見ていると、飼ってあげたい衝動に駆られるけど、うちでは飼えない。

なぜなら、お母さんとお兄ちゃんが猫アレルギーだからだ。

「……わかってるよ。飼ってくれる人急いで探してみるから、とりあえずここに置かせて」

「なるべく早く見つけるのよー。お母さんも知り合いに聞いてみるから」

「はーい」

新しいダンボールに入っている猫を抱き上げた。

体温が伝わってくる。温かい。ちゃんと生きてる。

「猫ちゃん、素敵な飼い主見つけてあげるから待っててね」

猫はまん丸の目でしばらく私を見つめて、返事をするかのように小さく鳴いた。