「へぇー、こんな時期に転校生なんてめずらしいね」

「超イケメンだったらどうしようね」

教室に向かう廊下。いつものように澪は一人ではしゃいでいる。

「澪は彼氏いるでしょ。そんなのにうつつ抜かしちゃだめだよ」

「わかってないな〜奈央は。彼氏いるとかいないとか関係なく、イケメンは目の保養になるの!」

「はいはい。澪好みのイケメン転校生だといいですねー」


高校二年生の冬。進路とか受験のこととか、先々のこと考えないといけないこの時期に転校か。

大変だなぁ、なんてそのときまでは他人事のように考えていた。