あの日に交わした約束は、思い出の場所で。

「……知らないよ。なんせ脳震とうで気を失ってたからね」

二人の関係は教えられない。あえて何も知らないふりをすればいい。

「二組の伊南遥だよ!見ず知らずの女性をお姫様抱っこして助けるなんて。あれは本物の王子様登場の瞬間だったな~」

「そうだったんだ。……きっと、伊南くんは誰にでも親切なんだよ。みんなから人気の理由もわかるよね」

そう。遥はきっと、私じゃなくても助けてた。

「奈央、ボールが当たったことに感謝しなさいね。あんなふうに助けてもらえるなら、学校中の女子が気絶したかったんだから」

「はいはい。わかりましたよ」

たしかに、ボールが当たったことは感謝すべきことなのかもしれない。

また昔みたいに、遥と話すことができたのだから。