「あぁ」

 相可(おおか)くんは座ったまま、わたしをぎゅっと抱き締める。
 わたしも両手を伸ばし、ぎゅっと抱き締め返す。

 窓の外で雨交じりの雪が降る。

 雪は地面にすぐさま溶けていく。
 残ってはくれない。

 背中に回した両手で相可(おおか)くんが羽織っている雪色のブレザーをぎゅうっとシワが出来るくらい掴む。

 最後だなんて、嫌だ。
 嫌だよ。

 止まらない涙。
 流れてはキラキラと光のように消えていく。