「お父さん、違うの」 「日向(ひゅうが)先生に、『マラソンは見学でいい』」 「『交通事故にも合いかけたわたしを走らせることは出来ない』って言われたけど」 「わたしが『走らせて下さい』ってお願いしたの」 「それは彼に命令されてだろう?」 お父さんの問いかけに、わたしは首を横に振る。 「違う」 そう否定すると、わたしはぎゅっと羽織っている黒のパーカーの裾を掴む。 相可(おおか)くんは、ただ黙ってわたしを見つめる。