「これで大丈夫だな」 バニラな香りがする。 全然、大丈夫じゃない。 アイスみたいに溶けてしまいそう。 「あの」 「ん?」 「わたしの家の隣の人、猫飼ってて」 「ぎ…相可(おおか)くんの隣の席になってから」 「わたしの家のベランダに包(くる)まってて」 「でも喘息持ちだから部屋から見てるしか出来なくて」 「今日も家を出たら猫が隣の家から出てきて鳴いてくれたと思ったら」 「わたしじゃなくて仕事から帰ってきた飼い主さんに鳴いただけで…」 わたしの顔が曇る。