その笑顔を見た瞬間にはもう、俺は恋をしていたのだと思う。 映画が始まって終わるまでの2時間は、左隣が気になって仕方がなくて、映画の内容なんてこれっぽっちも頭に入ってこなかった。 どうにか2時間をやり過ごして、さて彼女にどう声をかけようかと悩んでいたら、明るくなった会場で隣から聞こえてきたのは嗚咽混じりの鼻声だった。 びっくりして、ぎこちなく隣を見れば、 「…すっ…ご…、いい…えい…が……」 ハンカチで目元を押さえながら、泣きじゃくる彼女が言った。 .