冬空は『きん』と音がしそうなほど、澄んでいる。 さみー、呟きながら見慣れた階段を登る。 ロッカーとは名ばかりの、雑然とした部屋でいつもの制服に着替えた。 そろそろ二十代も後半にさしかかっている。 いつまでもこんなんで俺、大丈夫だろうか? いや、大丈夫なわけ、ないじゃないか。 考えながら、ダサい紙で出来たペラペラの帽子を被った。 居酒屋アルバイト店員の、いっちょ上がり。 .