どう返せばいいのか、思いあぐねていたら、 「せっつく、つもりはないんですよぉ。ただ、ほんのちょこっとだけでも、心の隅に置いておいてくださいねぇ。」 握った手のひらの先の人差し指と親指の間に、ちいさな隙間を作って、俺の目の前にかざして見せた秋野。 「…そんなちょこっとでいいのか。」 考えるより先に、言葉は口をついて出た。 びっくりしたように、顔を上げた秋野は、 「い、今は!今はです!!少しずつ、あたしを知ってくださいっ!!」 満面の笑みを浮かべている。 .