冬の春




その後、私はソワソワしていた。

高城さんが帰るのを注意深く見ていたけれど、この正面口を通った様子はなかった。

なので、仕事が終わって設計部まで行ってみると、真央が私に気づいて近寄ってきた。


「もしかして、高城さん?」

「あれ、またバレた?」

「バレバレ。でも、高城さんは帰ったよ」

「えぇ~。いつ?」

「5分くらい前かな。たぶん裏口から」

「裏口から?」

「うん、駐車場はそっちの方が近いし」

「ってことは、来るときはわざわざ正面に回った、ってことね」

「そうかもね」


私は嬉しくなった。

もしかして、私に挨拶してくれるために!

なんて、都合よく考えた。


そんな私を見て、真央はニヤッと笑った。


また、見抜かれてる~

洞察力が鋭いなぁ。

敵にしたくないタイプだ。


「じゃ、帰るね。お疲れ様」

「お疲れ~」


私はそそくさと真央と別れ、高城さんのことを考えながらルンルンで更衣室に向かった。