冬の春


私たちは、またあの緩やかな坂道を歩いた。

けれど、今日はリヤカーはない。

大悟さんは作業着でもなく、ズダ袋も持っていない。

だから、掃除のおじさんっぽくは見えなくて、この前より若く見える。

うーん、若いと言っても、30歳くらいかな?

私は大悟さんの大きな背中を眺めながらついていった。



家具屋に到着して、大悟さんは暖炉に火を点けるとパン屋の厨房に入って行った。

私は、チラチラと炎が燃える暖炉にあたりながら、店内の家具を眺めた。

どれも木の香りが漂うハンドメイドの家具。

ダイニングテーブルやチェアー、食器棚や机もある。

白木の家具たちはモダンでシンプルなデザインだ。


「さあ、どうぞ!」


私がぼーっと眺めていると、大悟さんは大きなサンドイッチを運んできた。

イギリスパンに挟まれたキャベツの千切りとベーコンが飛び出している。


「随分大きいですね」


目を丸くしていると、


「これくらい食べられない?」


と不思議そうに言った。


「食べられませんよぉ」

「大丈夫。食えるって」


と大悟さんはかぶりついた。

豪快に食べる姿を見ていたら、つられて全部食べてしまった私。

スタイルを維持するために、気をつけているのに……

でも、本当に美味しかったから仕方がない。


「ほらね。食えたでしょ?」


またも、大悟さんのペースにはまった。

ほんと、調子狂うなぁ。